<トピックス2> 骨のお話
続いては骨、特に骨粗鬆症(こつそしょうしょう)についてお話しします。ご自身やご家族、また知人の方に脚の付け根近く(大腿骨近位部)や背骨、手首の骨折などを起こされた方はおられないでしょうか?これらの原因として転倒は言うまでも無く、骨粗鬆症状態に陥っていた為に折れてしまったという方が実に沢山おられます。

骨粗鬆症という言葉は聞いたことがあるものの正確には解らないという方も多いのではないでしょうか。骨粗鬆症とは「骨の強度が低下して折れ易くなっている状態(疾患)」という意味なのです。我が国では人口の急速な高齢化に伴い、その患者さんは約1300万人に上ると推定されています。女性の方が男性より3〜4倍多く、ともに70歳以上で急速に増加する傾向があります。

そもそもなぜ骨の強度が低下してくるのでしょうか?骨の中では作っては(骨形成)壊し(骨吸収)、そして休憩し、また作っては壊し休憩するということを繰り返し行って、古い骨ばかりになる事を防いでくれています。これを骨の再構築(リモデリング)と言いますが、この際、色々な原因で骨形成より骨吸収が上回った時に骨粗鬆症が起こります。

骨粗鬆症が女性の方に多いのは、骨を作るのに重要な役目を果たしている女性ホルモンが減少する(閉経)ことが最も大きな要因とされています。ただそれ以外にも骨粗鬆症を呈する様々な疾患や状態があり、例えば甲状腺や副甲状腺の機能異常、糖尿病、慢性腎臓病、関節リウマチなどが代表的なものとして挙げられます。また胃の切除術を受けられた方やステロイド剤を服用しておられる(おられた)方も要注意です。

さて、実際に骨粗鬆症はどのように診断されるのでしょうか?
  1. まず、将来の骨折の危険度を評価するツール(FRAXと言います、ただ75歳までの方しか評価できません)を用いてご自分の骨折リスクを知っておくようにします。ここでは先に述べた合併疾患の有無や飲んでおられる薬剤の確認も重要になります。
  2. 次に骨密度を測定するのですが、これは骨の強度の70%が骨密度(≒骨量)によるとされているため(残りの30%は骨の質(骨質)に影響されます)最も大きな診断根拠となります。レントゲン写真でも腰や股関節など部位によってはある程度骨粗鬆症状態の評価は可能ですが、現在ではX線や超音波などを用いて骨密度を測定する専用の器具が比較的容易に利用することができます ので、市民健診や人間ドックの際に測られた方も多いのではないでしょうか。 骨密度が若年者と比較して70%以下なら(既に骨折を起こされている場合は80%以下でも)骨粗鬆症と診断されます。
  3. この場合、骨を壊し過ぎているタイプなのか、あまり作っていないタイプなのか、骨の形成に重要な要素が足りないタイプなのか、など骨の再構築の状態を知るために血液や尿の検査を行います。
これらのことを行って骨の状態を評価することができるようになります。

もし骨吸収が増加している状態ならそれを抑制する薬剤を、骨形成が抑制されている状態なら骨形成を促進する薬剤を、など初めて正確な薬剤の使い分けができるようになり、少しでも骨折の危険を減らせるようにできるのです(この為カルシウム剤のみを用いても骨折は抑制できません!)。

ただどんな薬剤を使っても、やはり骨折を予防する為には転倒しないことが一番です。バランス力を保つために適度な運動を心掛けていただくことが最も効果的であることは言うまでもありません。
薬剤、薬剤の副作用(頻度は低いのですが、ある一定の割合で起こり得ます)、運動のことなどについては、どうぞお近くの整形外科にお気軽に相談してみて下さい。

(高橋 真)